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GUITAR FORMS/KENNY BURRELL

GUITAR FORMS/KENNY BURRELL_e0041611_23283059.jpg84枚目になりました。1964・65年録音のケニー バレルの代表作の一つ、邦題『ケニー バレルの全貌』。凄いタイトルです。普通、たった一枚のアルバムで全貌もへったくれもないだろうと思いますが、これが見事に全貌。そんな事が出来たのも、アレンジとコンダクトを担当したギル エバンスの功績でしょう。そのギル、全曲を担当した訳ではないと思われますが、それがまた良い結果を生んだんです。対比です。バレルの良さを全て出すには、自分が関与しない曲も必要と感じたのでしょう。もしそうだとすれば、ギル、本当に素晴らしい!M-1、バレルお得意のライト感覚なブルースプレイで幕を開けます。恐らくギル、関与していません。まぁ何かしら意見はしたのでしょうが、ギルの影を感じる事は困難です。M-2、暗くも美しい雰囲気をギターが醸し出し、段々と楽器が増えてきます。5分20秒を過ぎたあたりから、あの独特のギル特有木管楽器群が演奏に色を着け、深みを与え包んでいきます。M-3では再びブルージーな演奏。心地良いけだるさです。この曲もギル関与の可能性は低そうです。M-4はアコースティックギターのみで演奏される小品。クラシカルに響きます。M-5はエキゾチックな響きを出すコンガに、アコギでメロディを奏でるバレル。そこにギル特有木管楽器群が被さってきます。たまりません。M-6はボサです。哀愁たっぷりメロディを、ギル特有木管楽器群がここではパンチを効かせ、ただのセンチメンタルでは終わらせません。M-7は有名な民謡です。勿論日本の民謡ではありません。バレルがアコギで爪弾く様に、静かに演奏を始めると、すぐにギル特有木管楽器群が入り、テンポもアップ!知らぬ間にエレキギターに変わってます。とてもスインギーな演奏です。M-8、いきなりギル特有木管・・・、しつこいですね。しかしこのいきなり来る和音、本当に独特です。もうこの出だしを聴くと、あぁ、これぞギル!と鳥肌が立ちます。M-9、ラテンっぽくバップします。全曲聴き所満載です。パーソネルを見ると、ギルの楽団にはエルビンやロン、さらにリー コニッツやスティーブ レイシー等凄いメンバーが居るのですが、一切ソロパートはありません。徹底してバレルのバックです。そうさせるのもギルの凄い所です。音の魔術師と言われたギル、本当に魔法の様なサウンドを繰り出します。不協和音すら美しく表現されます。しかしこれで全貌と言われると、納得せざるを得ません。バレルと言うギタリストの持ち味が全て出ています。ジャズと言う名称すら必要がないかも知れません。名作です。
by herbiee | 2006-04-23 00:15 | 音楽
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