44枚目になりました。今回も有名な作品。ハービーの代表作の一つです。ハービーも、そしてここでドラムを叩いているトニー ウィリアムスも当時マイルスバンドの一員。この2人、
マイルスの所で好きな様に演奏していたのでしょうが、そこはマイルスバンド、限度がありました。曲全体が余りにもフリー寄りの演奏や、バンドに合わない曲等は出来なかった様です。マイルスは意外に保守的です。新しいムーブメントにもすぐに飛びつく事なく、また自分に合わないと判断すれば、優れた曲でも取り上げませんでした。後年、名曲とされる【SPEAK LIKE A CHILD】もリハーサル時点で切り捨てています。マイルス、的確な判断だったと思われます。自分のイメージをしっかり持ち、それを頑なに守り通したんでしょう。しかしそれでは、当時若かったハービーや、さらに若かったトニー達には欲求不満が残ります。そこでハービーもトニーも、自分達のリーダー作では欲求を爆発させ優れた作品を発表しました。この作品もそんな中から生まれたものだと思います。ですから敢えてこのメンツで作ったんでしょう。フレディ ハバードを除く全員がマイルスバンドのメンバーです。そりゃ日頃一緒に演奏してるメンバーですから、息も合うでしょうし演りやすいってのはあります。でもマイルスへの挑戦とも取れるんです。わしらこんなんも出来ますねん!というアピールもあるでしょう。この作品は海洋の情景描写がテーマです。マイルスはそんな具体的な事しません。ジャケットも含め優れたトータルアルバムです。船が出航してからの色々な出来事をジャズにしました、てな感じです。架空のドキュメンタリーのサントラに近いかも知れません。しかし聴き応え充分のジャズになっています。M-1、初の出航です。期待と不安が音になっています。 特にハバードのソロの構成力でそれを感じます。M-2、嵐に見舞われた船と航海士の奮闘を表現、コールマン上手いです。M-3、海上で孤独をひしひしと感じる様子を、サウンドポエムの様な響きで綴り、M-4、微生物の生命力をフリージャズ寄りの演奏で見事に音に捕らえ、M-5で海洋の神秘さ、美しさをイルカの踊りに例えて演奏。素晴らしい構成です。不安とともに幾多の苦難を乗り越え(M-1〜M-4)最後に目的を成就した安堵感、達成感(M-5)で締める。こんな風に書いて、私はドラえもんの「くろうみそ」と言うエピソードを思い出しました。その味噌を一舐めすると、一つの目的に辿り着く迄多々の苦労をし、目的を達成できた喜びやありがたみを一層感じる、そんな話だったと思います(実際はのび太のパパが大舐めし、たばこを吸いたいがなかなか吸えずに話は終ります)。このエピソードも今思えばかなり前衛で、なぜ味噌?て思いますし、パパの説教が1ページ半程延々続くという変わった話でした。かなり脱線しましたが、このアルバム、買って損はないでしょう。演奏の素晴らしさは言うまでもありません。 熱気を感じさせないクールな演奏、しかし力漲るプレイです。それもまた不思議。
by herbiee
| 2005-12-13 23:11
| 音楽
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