かなり暖かくなり、春はもうすぐと感じる今日この頃、如何お過ごしでしょうか。91枚目の感想文は、アレンジャーでありサックス奏者でもあるオリヴァ− ネルソン、1961年録音のアルバムです。邦題が「ブルースの真実」、なかなかカッコいいタイトルではあります。
メンバーもすごいメンツが揃います。フレディ ハバードにエリック ドルフィー、ビル エバンスにポール チェンバース、そしてロイ ヘインズ。ネルソンもアルトとテナーを吹き、作曲とアレンジも担当します。全曲ネルソンのオリジナルですが、殆どの曲が純粋なブルースフォームではなく、ネルソンの解釈でブルースを解体、そして再構築したような面白さがあり、ブルースもこういう風に料理できるんやね〜と思わせます。M-1の【STOLEN MOMENTS】、有名な曲ですがとてもクールです。厳かな雰囲気でテーマが奏でられ、ヘインズのスネア一発でハバードのソロに入ります。瑞々しい、そして上手い構成力でソロを綴っていきます。そしてドルフィーのフルートソロ。ドルフィーにしては細かい音符を駆使しながらも、アヴァンギャルド度数低めのまともなソロを披露。続いてネルソンが音数少ないソロでクールダウンさせ、エバンスがブルース度の低いアドリブをかまします。やはりこの作品のキーポイントはエバンスでしょうか。「ブルースの真実」と題し乍らブルース度数の高いプレイをするピアニストを呼ばず、エバンスに弾かせたのも狙いでしょうし、勿論その狙いは間違いではありません。独特の美しいブルース感覚でピアノを鳴らします。リズムにチェンバースとヘインズの中堅べテラン組を持ってきたのも成功です。特にヘインズのドラミングは派手ではありませんが、その独特のスネアの打ち方がフロントを見事に鼓舞させてます。そしてM-4、テーマの後、ドルフィーのソロの入り方に笑います。あぁ、これぞドルフィーと安心させてくれます。このアルバム、トータルアルバムとしても非常に優れた作品です。 #
by herbiee
| 2007-03-30 00:35
| 音楽
皆様、大変お待たせ致しました。一体何時から更新していないのだろう、と前回のブログを見ましたらなんと昨年の10月!5ケ月も更新していませんでした。5ケ月と言えば、昨年10月に生まれて来た子ももう5ケ月、あれ?当然ですね。すいません。ここで男らしく言い訳をさせていただくと、まぁ公私共に色々ありまして、その色々に流されて気が付くともう春。時の流れは非常に、或いは非情に速いっ!更新する暇ありゃしねえっっっ!(いや、暇くらいありますよ。)ホントはネタがありゃしねえっっっ!(いや、ネタもあるんですけど、要はなまけです。)てな感じであった訳です。しかしっ!その5ケ月間、更新されていないこのブログを週に1度は見てくれているという本当にありがたい方がいまして、こりゃなんとか更新せな申し訳ないと思い、久々にキーボードを叩いておる次第です。またマイペースで更新していきますので、皆様よろしくお願い申し上げます。それでは90枚目の感想文、ドラマーのマックス ローチのリーダー作、1958年録音。実際この人のドラミングが大好きと言う訳ではありませんでした。イメージとしては良い意味での無茶が感じられないと言いますか、こじんまり叩くと言いますか、ト トントン
トン タ タンタンタンと言いますか、割りと整然とイーブンなノリできっちり叩くイメージがあったんです。リズムマシンの様な感じとでも申しましょうか。整然と叩くドラマーならアート テイラーみたいなスタイルの方が好きな事もあり、割りと避けてましたね、ローチ。じゃ何故このアルバムを購入したかと言うと、安いっ!まずこれです。1,000円です。次にサックスにジョージ コールマンが入っている事、更にジャズでは珍しいチューバが加わっている事がありました。で、聴いてみましたが、ローチに対するイメージには変化がありました。ブレイキーと共通する部分を感じたりしたんです。豪快さと繊細さの合わせ技ですね。もっと聴いてみたいドラマーになりました。しかしこのアルバムはどうしてもフロントを中心に聴いてしまいます。まずコールマン、私この人のテナーサックスが結構お気に入りでして、60年代前半のマイルス クインテットでのプレイも大好きです。サックスは木管楽器だと言う事を改めて認識させてくれる様な高めの音色もたまりません。ここでも真面目に吹きまくります。コルトレーンのフレーズをきれいにまとめた様なアドリブです。トランペットはブッカ− リトル、速いフレーズでは音の粒が立ってない様に聴こえる所もありますが、ハイノートも楽々と吹きまくります。ハイノートはちょっとガレスピーを思わせたりしますね。ビバップ寄りのフレーズです。そして注目のチューバ!⋯⋯、何も言いません、あんなデカイ楽器でこれだけ吹ければ充分です。すごいです。あとピアノレスの為、独特の緊張感があるんですが、大変リラックスした雰囲気もある良いアルバムです。 #
by herbiee
| 2007-03-14 23:45
| 音楽
お久し振りです。気が付けば朝晩が寒いと感じる今日この頃、如何お過ごしでしょうか。89枚目の感想文です。今回はウエザー リポート。1971・72年の録音です。かなり昔になりますが、ウエザーの有名なアルバム『8:30』を購入し聴きました。しかし全然良いと思えませんでした。録音も、何かドラムが後ろの方で鳴っているようなバランスの悪さを感じました。いくらベースがジャコであろうと、皆が凄い事をやっていようと面白く聴けなかったのです。今、改めて聴けば印象も随分違うのかも知れませんが、物事は最初が肝心!面白くない印象を引きずり、以後ウエザーのアルバムを買う事はありませんでした。が、ここ2年前位から、ジャコ加入前の初期ウエザーが非常に気になりだし、つい最近このアルバムを手に入れた訳です。なかなかええやないですかっ!怪しさと殺気と
美しさをごちゃまぜにして、煮詰めた様なサウンド。ラテンぽくもあり、ファンクぽくもあり4ビートもありで楽しませてくれます。私が特に気にいってるのはベースのミロスラフ ビトゥスですね。感じる殺気の80パーセントはこの人が放出している様な気がします。もちろんザビヌルがお膳立てしているのでしょうが。何せこのビトゥスの低重心ベースが凄みを感じさせて最高です。あとショーターのソプラノの美しさは比類無きです。この作品、後半は東京でのライブなんですが、このライブ録音を聴いてるとこんな風に感じました。68年頃からのマイルスのサウンドを、変に翻訳したり、或いは一般化(大衆化)したりしないで、核となる部分も表層の部分も正統に受け継いだのはこのグループではなかったかと。最後のテイク、有名な【DIRECTIONS】ですが、カッコ良すぎ! #
by herbiee
| 2006-10-09 22:39
| 音楽
ようやく秋の気配を感じれる様になりました。88枚目の感想文です。実は私、あまりこの人を聴く気になれません。クリフォード ブラウン。何故か聴きたいと思いません。何故かCD欲しいと思いません。CDショップに行って「うーん、ブラウン・ローチの作品、何か買ってみようかな・・」と、そんな気持ちが心を過る事がありますが、気が付けばグラント
グリーンのCDを手に持ってたりします。で、喜んでたりする自分がいます。そんな訳でブラウニーの作品は家に2枚しかありません。あとブレイキーのバードランドとヘレン メリル位です。ブラウニーの作品をそれだけしか持っていないのに、聴きたくないもへったくれもないのは重々承知の上ですが、聴きたくないのは仕方ない。この20年間、そうだったのだから仕方ない。あぁ、仕方ない。いや、この人、上手いのわかりますし、無味乾燥て訳でもない。しかし聴いていると、何かこう自分が自分でなくなる様な、集中力が途切れる様な、こうナントも言えない気分になるんです。どうしてそんな気持ちになるのか、私、特に理由を追求しませんでした。いずれ良く聴こえるかも・・と思ったからです。それから20年が経ちました。で、20年経った現在、実にくだらない事ですがその理由が分かったのです。とある本に書いてあったクインシー ジョーンズの発言です。以下抜粋「彼の頭脳はコンピューターの様だった。よく音楽について質問したが、彼の答はいつも決まっていた。《クインシー、音楽と数学は同じだよ。≫」・・・、うきゃ-!数学と同じ!私は数学が大嫌いです。そもそも算数から嫌いでした。ややこしい公式を解いて答はひとつ!(当たり前ですが)なんと融通のきかない学問。1+1=3でもOKな私が好きになれる訳がありません。そんな数学と音楽とを同じと考えてる人のプレイを面白く聴ける訳がありません。このアルバムは2つのセッションから成りますが、前半のセッションのメンバーが、バードランドよりカッチリ叩くブレイキー、なんかすっきり吹くジジ クライス、ピアノがジョン ルイス、ベースがパーシー ヒース等、ブラウニーの数学にある意味うってつけの人達で構成されてます。これがいけない!せめて後半のセッションと収録順序を逆にしてほしかった!因みに後半のメンバーはルー ドナルドソン、フィリー ジョージョーンズが入ります。後半は、この数学に縁の無さそうな人達のおかげで安心して聴けます。でもね、こんな事言い乍ら数日後にはブラウニーのアルバム、買ってたりして。こんないい加減な人間が数学を好きな訳がない!でしょ? #
by herbiee
| 2006-09-04 00:44
| 音楽
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